梅ログ

オレにさわるとあったかいぜ

叩き壊すおもちゃ、ピニャータをエビフライにしたい

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クリスマスや誕生日などのお祝いの日にピニャータという紙製の人形を吊るし、それを棒で叩き割るという遊び、『ピニャータ割り』がメキシコを中心とした中南米に存在するらしい。

自分の誕生日を祝おうと調べていたら辿り着いたそれは、幼い子供が好みそうな動物やアニメのキャラクターなどを模した可愛らしい形をしていた。中にはお菓子が詰められているという。

 

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表面はカラフルな紙で作られたフリンジに覆われている物が多いようで、ふさふさのあいつも無毛のそいつもふさふさしている。

そんなふさふさのピニャータをパソコンの画面越しに眺めていると、筆者の中の名古屋の民が囁いた。

 

―あのフリンジ見てみい、どう見たってエビフライの衣だが。と。

 

筆者は名古屋の出身である。名古屋の民はエビフライを「えびふりゃあ」とは言わないし名古屋飯だと思ってもいないが、サンドウィッチにしてみたり味噌に着けてみたりと街はエビフライ愛に溢れている。特に大きなエビフライは特別な日のご馳走だ。個人的には人様からエビフライを頂いてしまったら無条件でときめいてしまう自信がある。が、他の地方の人にとってはそこまでの料理ではないということを知った時は衝撃であった。

思いついてしまったあとの数日は会社にいい感じのダンボールが発生するのを待った。エビフライを作るためだ。 上司に持ち帰りたいことを伝えると用途を聞かれたので素直に「海外でお祝いの日に作るという紙人形を作りたい」と説明したがエビフライの形にすることは黙っておいた。上司は名古屋の民ではないからだ。

 

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無事手に入れた段ボール。切り込みを入れて十字になるように繋ぎ合わせていく。

実際のものがどんな構造かは分からないが、紙でできていて、最終的に壊れるものを正解とした。


エビフライには丸まったものや頭付きのものなど種類はあるが、思い浮かぶのは地元名古屋のデパ地下に並ぶやけに背筋の伸びた無頭のエビフライだ。

あれは長く大きいほど良いものなのだと愛知県民は学習している。いつかおこづかいで買いたいと憧れたあのエビフライを想いながら、ダンボールを長めにつなぎ合わせた。

 

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ダンボール同士がうまくはまらなかったり、強度に不安がある部分はガムテープで固定する。完成をイメージしながら切り崩してみると、どことなくそれらしいビジュアルが現れた。

 

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作業が進めば進むほどエビフライらしいエビフライにしようという気持ちが強くなる。決意のまま骨組みの上に側面となる新たなダンボールを麻紐で縛って固定した。形が崩れる様子はほとんど無く、逆に丈夫過ぎる気がして心配になる。情緒が不安定である。恋かもしれない。

お菓子を入れるため、そして強度が必要以上に上がってしまうことを防ぐために側面の4割程度はダンボールを貼らずに開けておき、このあと下地として全体に貼り付ける藁半紙で塞ぐことにした。

 

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当日のお楽しみ、お菓子ラインナップは小包装された飴やチョコレート、ゼリーや小魚、甘納豆など。叩かれても壊れなさそうな物を選んだら祖母の家で出してもらえるような物が揃い、つい故郷が恋しくなってしまう。

 

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買われて早々に段ボールの半個室に詰められるとは思ってはいなかっただろうお菓子たちの気持ちを推し量りながら、藁半紙と水糊で蓋をしていった。

 

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お菓子を閉じ込める作業を終えると真っ白なエビフライが現れた。揚げる直前の粉を纏ったエビのようだ。少し無骨だが沢山叩いてくれと言っているように見えて頼もしい。軽く叩いてみると、タンバリンのようなパンっとした気持ちの良い音がした。

 

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ラストスパート。エビフライをエビフライたらしめる衣付け、フリンジ付けの段階に突入である。色のついた紙テープに延々切れ込みを入れ、貼り付けていく。

 

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尻尾の部分に負担がかかるのが怖くて立ったりしゃがんだりしながら作業を進めたがこれが地味に足腰に負担がかかる。何週しても終わりが見えず、じっくりと疲労が蓄積されていく。無間地獄かのように思えたひとときだったが、フリンジ付け開始から時計の短針が一周回る頃、ついに思い描いた姿を現した。

 

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 一月某日、期待と不安とエビフライを胸に抱え、駅前で人を待っていた。

どうせなら自分だけでなく他の人のお祝いもしたいと思い、誕生日が近いハッピーな人達に声をかけたのだ。

参加者には事前に軽く説明はしたが、私含め全員初ピニャータである。吊るして叩くその現場がどんな空気になるのかも想像できなかった。果たして日本生まれ日本育ちの大人たちは楽しむことができるのだろうか。

 

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会場は夜の公園。

ピニャータ割りの起源は諸説あり、その一つに、可愛い紙人形に化けた悪魔を追い払うために叩くというゲームをクリスマスのミサで行ったのが始まり、というものがある。

そんなインターネット知識を頭の片隅で思い浮かべながら吊り上げたピニャータは暗闇の中ゆらゆらと揺れ、まさにこちらに襲いかかるタイミングを図っている大きな悪魔のように見えた。

それと同時に、吊り上げられたエビフライは腕の中で見るよりもエビフライらしく見え、闇夜に溶け込んだ不気味さと、それを自分が作ったという自画自賛で楽しい気分になってくる。

 

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参加者達は誕生日を祝い合うよりも先に「エビフライ...」「でっかいエビフライ...」と口々に漏らし、ウォーミングアップに素振りを始めていた。

その様子にメンバーの懐の深さとピニャータ割りの素質を確信。

 

なお今回ルールは、本場ではこの遊びの際に歌うらしい『ピニャータのうた(Piñata)』音源をかけ、一人ずつ順番に歌が終わるまで頭上に括り付けたエビフライを叩き続ける。出てきたお菓子はその時叩いていた人のものとする、ということにした。

小さな資本主義経済が誕生したところで、大人ばかりでよってたかってエビフライを叩く宴の始まりである。

 

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 ♪ Dale dale dale  ダレ ダレ ダーレ (打て 打て 打て)

♪No pierdes el tino  ノー ピェルダス エル ティーノ (的を外すな)

 

異国感溢れるスペイン語の音楽が流れているその時間はおよそ30秒。

構え方や叩き方、叩いた時の音に剣道などの剣術経験の有無や体格、日頃の鬱憤の溜まり具合が垣間見える。容赦ない。

 

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筆者の番。木刀を手にピニャータを見上げると緊張感が走った。「どう壊してやろうか」という高ぶりからの緊張である。

最初から破壊することを前提とした物だからだろうか。むしろ誰よりも一番ぶっ壊したいという気持ちが芽生えていた。

 

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音楽が流れだすと同時に木刀を力いっぱいめちゃくちゃに振り回す。

しかしダメージは小さいようで、その身は崩れず打った木刀をばいんと弾き、反撃をするかのようにそのまま勢いよくこちらへ飛んできた。他の人が叩いているのを見ている時には気づかなかったが、避けたり弾かれたりと思いの外必死になった。

 

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二周に突入する頃、それまでは叩いている人を眺めていた参加者達が動き出した。

一人は「ダレダレダーレ」と歌を歌い、また一人はその歌に合わせ舞い踊り、さらに剣術経験者は順番を次に控えた者に打ち方の指導を始めたのだ。

これはピニャータに化けた"悪魔の力"なのだろうか。悪魔払いが起源のゲームによって、逆に魔に憑かれたようだった。

 

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なかなか丈夫に思われたエビフライだったが、ゲームを進めていくうちに少しずつダンボール片へと姿を変えていった。

 

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破壊が進むにつれ、どんどんお菓子が飛び出す。あっちこっちに飛んでいくので一人叩き終わるごとにお菓子を拾う作業が入る。沢山拾ったとしてもルール上叩いた人の物になるのだが、それはそれとして落ちているものを拾うというのが楽しい。

 

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容赦無く叩かれ続けたエビフライはついに木っ端微塵に。

結局自分ではあまり壊すことはできなかったが制作と破壊で蓄積された疲労感はどこへやら、清々しい気分であった。

参加者の一人がお菓子の山を手にこんな感想をくれた。「夜の公園で大人がエビフライを叩きまくる姿は、誕生日会というよりは魔女の集会のようだった」と。こうして歌い踊って巨大なエビフライを叩く誕生日会は幕を閉じた。 

 

「ストレス発散になる」「お菓子も貰えて嬉しい。またやりたい」と参加者にはとても楽しんでもらえた様子だったが、ピニャータを作りたいという欲求は湧いてこなかった。エビフライ型ピニャータに化けた悪魔と共に、それを作りたいと主張した私の中の名古屋の民も満足し去っていったようである。

【優良】人生二度目の免許更新に行った話

免許更新を面倒臭がってつい先延ばしにしてしまっているあなたへ。これは5年後の自分自身に向けた記事です。何をするにも腰が重た過ぎるところがありますが、免許更新は思っているほど面倒臭くはありません。敷いて言えば施設までの移動が一番面倒臭いです。それでもうだうだしているでしょうから、覚えているうちに2019年の私があなたのために免許更新の流れをここに残しておきます。

もしも何かしらしてしまって『優良』じゃなくなった場合、この記事は役に立たないのでその時はその時の対応をしてください。

 

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【日にち】2月3日 日曜日

【天気】晴れ

【利用施設】江東試験場

【所要時間】11時15分頃受付、12時20分終了の約1時間

【持ち物】届いた葉書、免許証、手数料、眼鏡、念の為印鑑

【前回からの更新事項】無し

【事前にすること】美容室に行く、化粧は気持ち濃いめ、笑顔の練習

【注意事項】免許更新センター、警察署は土日祝やってません

 

試験場に着いてからの流れ。

▼玄関入って右手の0番窓口で受付へ向かう。(すぐ分かる)

▼窓口手前で4桁の2つの暗証番号を機械に入力、発行(超簡単)

▼窓口で葉書と免許証を渡し、書類を一枚もらう。記入が必要な箇所を説明される。渡した2点も受け取り、窓口脇の記入コーナーで記入。(難しくない)

▼次の窓口へ向かう前に立ってる人から用紙のチェックが入る。(怖くない)

▼2つめの窓口で書類を見せて手数料を払う。領収書を受け取る。(払うだけ!)

▼簡易半個室みたいなところで書類を渡して視力検査。眼鏡持ってても裸眼で測る。(優しい)

▼書類にハンコをもらう(何も考えなくていい)

▼免許証と書類を見せ、免許証に穴を開けてもらう。書類の内容確認をされる(この辺で上着を脱ぎ、髪を整えておくと吉)

▼ここからすぐ撮影。前髪と目力に気をつける。書類が短冊になる。(鏡見てる暇無し)

▼二階へ上がり短冊チェック。講習の資料をもらう。

▼口頭説明+ビデオの30分講習。満席になるまで始まらない。飲食禁止、携帯はマナーモードに。

▼退室の際にハンコをもらう。

▼4階で免許受け取り。画面に受け取り可能番号が出る。ちょっと待つ

▼受け取ったら脇の機械で最初に決めた暗証番号を入力して個人情報のチェック。

▼おしまい。

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最後に今日の私の行動を詳細に書いておく。上記さえ見ておけば別に読まなくてもいい。

【10時30分頃】

大手町駅から少し迷い10分ほど歩き、午前の受付終了時間より1時間早めに神田の免許更新センターに来た。ここで周囲に人がいないこと、建物が開いてないことに気づく。

土日祝日免許更新の受付はしていないのだった。

一瞬葉書のデザインのせいにしてしまいそうになるがデザインには全く問題ない。ちゃんと確認してください。

 

【11時ちょっと過ぎ】

神田から一番近い江東試験場に到着。他の試験場は比較するまでもなく遠い。

大手町からメトロ東西線で1本。18分ほどかかる。料金は165円(IC)

大手町駅はやたら大きく思っている以上に歩く羽目になるので今回のような失敗は二度としないでほしい。

 

【11時15分頃】

受付窓口へ。『一般』の場合の午前中の受付時間は11時までなせいか凄く空いていて驚く。すいすいのすい。

ちょっともたついている人がいて注意されていたが、ひとつ終わる度に「次は◯◯の◯番窓口へ行ってください」などと言われるのでそれだけは聞き逃さないようにすれば何も難しくないし怖くない。

葉書を見せるのは最初の窓口だけなのでそのあとはしまってもいい。

暗証番号が書かれたカードは写真撮影の時にだけ必要なものなのでそれ以外はしまっててもいい。

視力測定で眼鏡出そうとしたら「最初に裸眼で測ります」と言われ、受けてみたらそれで通ったので眼鏡の出番無し。念のため持って行った印鑑の出番も無かった。

 

【11時30分頃】

講習室へ。満席になるまで始まらないのでこの待ち時間が一番長く感じられたがそれも10分程度。いつの間にか部屋に先生が入ってきていて、説明が始まった。一番最初に講習が終わったあとの説明もされるが難しくない。あと終わる頃には覚えていない。

年間の事故死亡者数や免許更新までの間に変わった運転ルールなどの話をされ、ビデオを見る。集中しだした頃に終わる。30分はあっという間。

 

【12時ちょっと過ぎ】

短冊にハンコをもらって4階へ移動。

頭上に設置された画面に『更新:◯◯◯番までの免許受け取りが可能』というような表示がされるのでそれを見ながら待つ。そんなにかからない。受け取ったら脇の機械で暗証番号入力して個人情報を確認して終了。

今回の証明写真の撮影では前髪は短くし、横毛は耳にかけた。出来上がりは前回と比較すると不気味なくらい爽やかだった。

なお窓口右側に食堂と売店がある。鮫洲の食堂はカレーがおいしいとのweb情報を見つける。江東はつけ麺らしいが気分ではないので利用しなかった。外から見るに食堂員さんはかなり愛想良さげ。

 

【12時20分頃】

施設を出る。

 

【まとめ】

思ってるほど面倒臭くないよ。